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「それを作れば彼が来る"If you build it ,he will come"」という不思議な“声”を聞いた農夫が、とうもろこし畑を潰して野球場を造り始める。そうKevin Costner主演の『フィールドオブドリームス field of dreams』

やがてその野球場にはシューレスジョーをはじめとする往年の大リーガーたちが集まり白球を追うようになる。一面とうもろこし畑のど真ん中にナイトゲームの灯りがこうこうとひかり、それを見に多くの人々が車でやってくる。

夢を追うこと、信念を貫くこと、家族の愛の大切さなどを教えてくれた映画。

それで、非常に僭越(せんえつ)ながら私・・今回の朝市の移転をこのフィールドオブドリームスを勝手に見立てております。何にも無いところに、それを見たさに人が集まってくる。まさしく『かつぬま朝市』がフィールドオブドリームス。

果たして皆さん集まってくれるのか・・・

わあ、やばっ!なんかカッコ良過ぎ。でもやっぱそのイメージなんだよなあ。

こちらの写真は昭和30年代に川口園さんから笹子峠望むワンショット。甲州ぶどうがたわわに実った秋のぶどう園、その下で若き女性が今、収穫したばかりの甲州ぶどうを竹篭に詰めている・・・眼下にはぶどう園が延々と続き。遠くには祝橋。

モデルさんを置いてまで写真を撮ってしまうような、まさしく勝沼を語るにはふさわしい場所・・。そしてこの女性がたたずむ足元こそが新しい”かつぬま朝市の開催場所”

tinyな四季の里公園からスタートしたかつぬま朝市。そこからの移転は決してお客さんが増えたからではなかった。

真夏の朝市、農繁期も重なり来てくれた人はたった十数人。出店者さんたちが暑さと脱力感で下を向いちゃって・・・。

どうしよう・・「なやんでたって仕方が無いどうせならもっと目立つ場所へ」ということで道路沿いの広い空き地に移転を決定。でも、道路沿いでたからって朝市に来てくれる人は増えるのか・・不安が募るばかり。

アンズルヨリウムガヤスシでした。一週間前から道路に立てておいた看板が功を奏し、大勢に人がきてくれた。広い会場でのびのびと朝市を開催。

朝市の時間になると近所のおばちゃんたちが連れ立って歩いてくる。「また来たよ!」って声をかけてくれる。あー本当にこの人たちに支えられているんだなあ。

そして1年間、出店数も15店ほどになり来場者の数も安定してきた。町内でもみんな朝市のことを知ってくれるようになった。

ところが客足が伸びて盛況になっていくにしたがって駐車場が手狭になってきた。

出店者さんの車は少し離れた場所に置いてもらってもまだ駐車場が足りず、挙句の果てには路上駐車。

そしてついに地元の駐在さんから大目玉を喰らってしまった。「何ぼでも路注してると取り締まるぞ!」

場所変えなくっちゃだめかなあ・・・真剣に考え始めた。ここに移った時は「わあー広くっていいや!」なんて喜んでいたのも束の間。

近所のおばちゃんたちも「のんびり歩いて朝市来るのが楽しみ」って欠かさず来てくれて。子供たちだって魔女実験を楽しみにワイワイ来てくれてて・・・。

でも、何か事故があったら困る・・・。

もう候補地は決まっていた。そして実は・・すでに1年ほど前から「その場所で朝市をやってみたい」という気持ちは地主さんの知り合いに夢の一部分として伝えてはいた。

まさにそんな時、なんと地主さんの方から「朝市やってもいいよ」って。

うれしかった。でもとても気になることがあった。それは・・・。

今まで朝市の会場として敷地を貸してくれたサンセイフルーツさんのこと。

「ウエブマスターさん、いいよ使って。こういうことが地域で大切なんだから。いいよ水道も、トイレも、電気も使っていいよ。頑張れし!」

文無しのかつぬま朝市に勇気と希望を与えてくれた。そんな人にどうやって移転の話を伝えよう・・・・

事務所にお邪魔して話を切り出した。「実は・・・」なるべく簡潔に、率直に移転の意志を伝えた。するとサンセイフルーツのS社長(女性)「あら良かったじゃない!」

もし私がこの話を持っていっても決して反対する人ではないハズなのに何故かとても緊張した。

「頑張れし!」
そう・・・「忘れないことが恩返しですから」と私。

そして移転先の方と最終的な打ち合わせを終え、移転への準備に取り掛かった。

パンフレットやチラシの地図や場所の表記を変更した。すでに発行済みのものにはシールを貼り付ける作戦をとった。

各方面に移転のお知らせをなるべく足を使って伝えた。

周知看板を業者さんに書き換えてもらった。自作看板も作り直した。

「えー朝市遠くに行っちゃうの?」会場周辺の人に移転を伝えるたびに言われた。

実は一番つらいことだった。

「なんか・・地域の中で小さくやっているのが朝市の魅力なんだけどなあ」

「私なんか皆勤賞だったんだよ。だけど車が無いので今度からは行かれないじゃない・・」

そうそうそういえば乳母車みたいな買物バックで道中休み休み来てくれていたおばあちゃんもいた。

「みんな、あっちのほうにイベントが行っちゃうと地域の特色がなくなるなあ」

みんな、そこまで朝市のこと気にかけてくれていたんだ・・・とうれしい反面、いいのかなあこれで、という不安が日に日に高まってきた。

そして4月ここでは最後の朝市。晴天にも恵まれて大賑わい。

そして数名の常連さんから「場所変わっても絶対行くからね」「がんばってね」の声をたくさんいただいた。

そしてふと出店者さんを見ると、チョイト肌寒いのに朝市Tシャツ着てきてる。

その絵柄は私たちの想いを描いたものだった。鳥居焼きをかすめて日が昇る・・・まさに新しい場所の光景だ。

「よーしがんばろう。次のステップに上がろう。最初は来てくれる人が少なくてもいい。朝市を始めた頃の苦悩に比べたら、どおってことはない」。

「そしてまず始めに地元の人がいっぱい来てくれるものを作ろう。もっとお手伝いの人に来てもらって、車で来られない人のために送迎サービスも充実しよう。」

そして・・・不安を抱えつつ新天地での朝市は開催された・・・



この写真はasfさんから借りてます

If you build it ,he will come・・・始まったばかりです
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