一感動のステージ
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●物を売るだけの直売所では、必ず飽きが来る。現代は子供も大人もストレス時代。ぬくてえ心に飢えている。ショッピングを通じて、楽しさと安らぎの都市型田園文化が満喫できる、田生ならではの"広場"づくりを企画せよ
1、直売所を消費者の力を借りて楽しさとやすらぎの提供できる感動のステージにしよう!
厚生年金及び共済年金生活者は、素晴らしき直売所の協力者!
「街に行けば売っているけれど、この(田園)風景の中にあるから、ものすごくきれいに見える」

直売所と農場を含めた集落全体を、ぬくてえ心の通う交流の広場に!

*お客に季節の変化に感動を覚えてもらえるよう、もっともっと季節の変わり目にメリハリをつけた商を工夫しよう!

*春は菜の花、夏はひまわり、秋はコスモスに囲まれた直売所、泥摘みのできる直売所を!

*最低月一回、ハレ傘の紹介、関連農産物の販売できる、楽しい直売を企画せよ!(縁日風の農産物直売所)

*ハレ食:を共に楽しむ会をつくれ!そして2年後は田園レストランにやすらぎ"朝市を
●事例山梨県勝沼町「かつぬま朝市」
*直売所と畑をつなぐインターネットー電話回線(携帯電話を利用した1時間単位の売れ行き情報)で畑から直に出品!体験農業希望者を畑にご案内!
*物販売の直売所から、物販売+体験(収穫など)の直売所へ
「地産地消型オーナー制度」
毎月"8"日は「野菜の日」、消費者に各種のサービスを!
「聾菜物語」を!
「餅の日」、「ムスビの日」も面白い。
春夏秋冬、消費者の明日を再生する、何でもあり誰でも参加OKの、"や(売り手も買い手も入り乱れた大きな井戸端会議場の如き


〈解説〉
ここでは21世紀型の直売所づくりのヒントがいっぱいある、山梨県のかっぬま朝市について紹介します。内容は、2005年の農村報知新聞に掲載された山田孝文さんの感動的レポート「第21回かつぬま朝市、朝日の輝くぶどうの里にはぬくてえ心が豊かに実る」から抜粋でさせていただきました。太字にした部分に特に注目して頂きたいのです。


他県ナンバーの車で乗りつける観光客。
通常より少ないとは言うものの、会場には20軒近くのさまざまな露店がずらりと並んでいる。
「おひとつどうぞ」
エプロン姿の優しそうなご婦人がまず差し出してくれたのは、自家製味噌を添えた手づくりこんにゃくだ。さっそくそれを口に運ぼうとすると、そのご婦人
「ちょっと待って!」
と慌てて姿を消したかと思いきや、両手に赤い液体の入ったコップを持って小走りで戻ってきた。
「ホントは白が合うのだけれどね〜 。まあいいや。ささ、どうぞ」
プハ〜 ツ、やっぱり朝から飲む酒は旨いやあね!チュルンと柔らかい食盛と香ばしい味噌が、赤ワインにだって立派に合うじゃありませんか。「そ〜 お?じゃあよかった」


朝お世話になった天野さんは、可愛い女のコが焼いたパンを試乗車のトランクに並べて、お洒落なコラボレートカフェを開いている。その脇には牧場直送のアイスクリーム、それから丸太を使ったベンチ、包丁研ぎ、小さな女の子がおもちゃのマシンで作るホップコいン、漬物やお惣菜、季節の花々、リサイクルの古着、手作りアクセサリーに3Dアート、豆腐に油揚げ、特産の果樹をふんだんに使ったジャム・… みんな思い思いの品物をただ持ち寄ってきているだけなのかもしれないが全くどうしてこんなにも人をワクワクさせるんだろう。

さらにこの他にも、今回は残念ながら欠席だったが、はるばる沼津から干物屋さんが出張販売に来たり、地元の学校の先生が子供たちにいろんな科学現象を実演してみせる"魔女の実験"コーナーなんてのも催されるらしい。つまりは、何でもありの誰でも参加OKってワケなのだ。この朝市は。

僕ら住民が勝手に始めちゃった朝市だから、不備だらけですよ」と高市さん(リーダシッペの人)は言う。でも、商工会や農業協同組合などの主導じゃないからこそ、自由な発想も実現しやすいという利点だってあるはずだ。また、会場内を歩いて気になったのだが、とにかくみんな話好きなのである。そ
れも営業トークなんてのとはちょっと違う。たとえば、売り物もはずの惣菜のレシピをお客さんに一から教えてあげたり、野菜を商う婦人なんぞは自分の店を抜け出して、初出店の石材屋さんが並べる漬物石を見るや「こういうの、横に取ってが彫ってあった方が持ちやすいかもねえ」なんて遠慮なくアドバイスしてたりするんである。

石材屋の若主人も謝りながら嬉しそう。… そこはもう、売り手も買い手も入り乱れた大きな井戸端会議場の如き光景である。

でも、これだからいいのだ。レジを通るだけのスーパーじゃわからないかもしれないが、そもそも人と人が何かを売買する時ってのは、一緒にいろんな情報も交換しあうのが当たり前だったはずである。それこそが本来の、市場が持つべき重要な役割だったに違いなかろう。『ここにしかないもの』が、かつぬま朝市のモットーらしいが、それより何より『ここにしかいない人たち』がワイワイ参加しているから、この朝市は楽しいのだ。

朝市の出店者ににはプロの職人さんもいるが、その半数以上は趣味がこうじた素人である。(リーダシッペの高安一さんはなぜ朝市をはじめたかのだろう。山田さんのレポート続ける。)

ただ、ここで端的に言うならば、彼は自分が移り住んだ勝沼という町を、心から愛すべき『故郷』にしたいと思ったのである。その願いをどうにか叶えようと朝市を思い立ち、まず農家の人びとに野菜を売ってもらうことから始めたのだ。そして、いざ始めてみれば多くの人びとが続々と朝市に賛同した。なぜならが、彼らの胸中もまた、ふるさとへの強い愛着に満ちていたからでえあろう。


ここから先は、私の見解です。
ぬくてえ心を求めてあつまった人びとによる、ぬくてえ関係づくり、ぬくてえ故郷づくりの序曲、これがかっぬまの朝市。山田さん分析は鋭く素晴らしい。

『ここにしかないもの』が、かつぬま朝市のモットーらしいが、それより何より「
『ここにしかないひとたち』がわいわい参加しているから、この朝市は楽しいのだ。

このところ、何処でも売上が低迷している直売所が増えています。単純に直売所、ができすぎたり、不景気のせいだけなのだろうか。それもあろうが、意外に、本当の原因は、消費者が、スーパーと競って物を売るだけの直売所に飽きてきているところにあるのかも知れない。