かつぬま朝市ワインセミナーレポート by篠原
第30回ワインセミナー 20100404




参加者  県外8名  県内10名  計18名
講師  大山ソムリエ
アシスタント   篠原ワインエキスパート
ゲスト  機山洋酒工業(株)  土屋由香里様



ワインリスト
1 甲州ヴィンテージ2006 勝沼醸造
2 キザン スパークリング トラディッショナル ブリュット 機山洋酒工業
3 ベリーAヴィンテージ2006  勝沼醸造

料理
1 カリフラワーのピクルス
2 お刺身コンニャク+甘味噌
3 季節のフルーツ
4 クリームチーズところ柿のディップ
5 パン
6 クラッカー

セミナーの内容
1 甲州ぶどうのお話
2 甲州種ワインのお話
3 ワインテイスティング
4 機山洋酒工業さんのお話

レポート
春ですね。勝沼のぶどうの芽がふくらんできましたよ。桜の花も見事に咲いて、あちらこちらでお花見をしています。今年は開花してから花冷えの日が続いたので、桜の花も長く見る事が出来て有難いです。          
我がかつぬま朝市ワインセミナーも五年目に入りました。今期も大勢の方々に、ワインのおいしさ楽しさを実感していただける様に頑張ります。   

さて、今回のセミナーはとても素晴らしくて、私も、つい朝市に買い物に来られた一般のお客様にも「立ち見でかまいません。ご一緒にどうぞ。」と声をかけたくらいです。順を追ってお話しましょう。              

まず前半は大山ソムリエによる、日本の代表品種である「甲州」というぶどうについての説明と、このぶどうから造られる「甲州種ワイン」についてのお話です。前回、都合によりお休みした大山ソムリエも、今回は一段と張り切って、益々ユーモアに磨きがかかります。大山ソムリエのアン・ドュウ・トロワの音頭でテイスティングしたワインは「甲州ヴィンテージ2006」というワインですが、このワインの様に一回だけの醗酵によって造られ、泡の出ないワインのことをスティルワインといいます。この後同じ甲州種から造られるワインでも、見た目も味わいもまったく違うワインが登場します。                   



本日のゲストは、機山洋酒工業の醸造家の土屋由香里さんです。
 


土屋さんには、甲州種から造られたワインでも泡のある、スパークリングワイン(よく結婚式などで乾杯の時に飲む発泡性のワイン)についてお話いただきました。機山洋酒さんの「キザン スパークリング トラディッショナルブリュット」は、フランスの「シャンパーニュ」に代表されるビン内二次醗酵という、本格的な造り方で造られたスパークリングワインです。



土屋さんのお話で造り方を要約しますと、まずタンクの中で甲州ぶどうのジュースを醗酵させて白ワインを造ります。それを一本ずつビンに詰め(ここでビン詰めすると一般的な白ワイン、スティルワインになります)、さらに、同時に酵母と糖を再度加えてビンの口に王冠をします。(コルクだと中の圧力で飛んでしまうので。)やがてビンの中で二次醗酵が始まり、醗酵を終えた酵母がオリとなって次第にビンの下の方に溜っていきます。このオリをビンを回しながら口元に集めます。この作業を動ビン(ルミアージュ)といいますが、この時ピュピトルというオリ下げ台を使います。
 


この台の穴の中にワインの入ったビンを差し込み、2〜3週間かけて、毎日少しずつビンを左右に回しながら、オリを口元に集めていくのです。今回土屋さんは、なんとこのピュピトルを持参して、動ビン作業の様子を実演してくださったのです。参加者の皆さんは、めったに見られないこのチャンスを逃すまいと、立ち上がったり近づいたりして、カメラのシャッターを切っていました。
 



この動ビン作業により口元に集められたオリは、またまた驚くような方法によって取り除かれるのです。口元に集められたオリは、ピュピトルの台の穴の中で逆立ち状態になっているビンの中にあります。この逆立ち状態のビンの口元だけを、マイナス20度C位の塩化カルシウムの水溶液につけるとオリが凍ってしまいます。そしてすぐに王冠を外すと、中の炭酸ガスの圧力で凍ったオリがポンと外に飛び出すのです。そのあとすぐにコルクで栓をして、針金で固定して、やっとスパークリングワインが出来上がりです。


この手間とたっぷりの愛情のこもったスパークリングワインのお味は、今、造り手からのお話を聞いた直後だけに、参加者の皆さんの心にひときわ沁み入ったようでした。



「今までワインは他人が飲むものだと思っていましたが、今日このワインに出会って、ワインが大好きになりました。」「結婚式に招待されて、スパークリングワインの知識を披露するのが楽しみです。」「甲州種からこんなに素晴らしいスパークリングワインが造られるなんて、驚きです。」などなどたくさんの声を聞くことができました。フレッシュで華やかで、ピチピチと躍動感のあるこのワインは、勝沼の今の季節にピッタリのワインですね。