かつぬま朝市ワインセミナーレポート by篠原シニアワインエキスパート
第31回ワインセミナー 20100502


参加者  県外10名  県内7名  計17名
講師  大山ソムリエ・篠原シニアワインエキスパート                        アシスタントアシスタント のぶ子さん

ワインリスト  
1 百農民(ひゃくのうたみ)2005  潟_イヤモンド酒造
2 百農民(ひゃくのうたみ)2007      〃       
3 ワインを楽しむ会 甲州 一升ビン  新巻葡萄酒
4 ベリーAヴィンテージ2006      勝沼醸造


料理
1 カリフラワーのピクルス
2 お刺身コンニャク+甘味噌
3 トマト
4 季節の野菜
5 クリームチーズところ柿のディップ
6 パン

セミナーの内容
1 甲州ぶどうのお話
2 甲州種ワインのお話
3 ワインティスティング
4 百農民(ひゃくのうたみ)甲州種ワインについて




レポート
ぶどうの芽が伸びてきましたよ。若い可愛い葉っぱが開いてきました。このことを「展葉」(てんよう)といいます。先にはしっかりと、小さなぶどうの房が付いています。これから、芽かき、肩房とりなど収穫までの一連の農作業がスタートします。                      


5月の朝市会場は、素晴らしい五月晴れとなり、それはそれは大勢の人でいっぱいです。その会場のほぼ真ん中、緑のテントの下で、いつものようにワインセミナーが始まりました。  


今回のテーマは「オリジナルワイン」です。 ある目的のために特別に造られたワイン(非買品)のことです。まず最初は、大山ソムリエが手掛けられている、「百農民」という甲州種ワインの、ヴィンテージ違いをテイスティングしました。「百農民」は、甲州市勝沼町菱山地区にある、「ぶどうの丘」の中腹に位置する畑のぶどうから造られています。昔からこの地区は、「婿泣かせ」と呼ばれるぐらい日当たりの良い場所で、一旦太陽が昇ると、さえぎるところがなく、夕方遠くの南アルプスに日が落ちるまで農作業をし続けなければならないのでそう言われている所です。また、栽培方法も、極力農薬などを控えて、ぶどうの木が持っている力を最大限引き出す農法を目指しているので、この畑から獲れたぶどうがワインになった時、ボディーのしっかりしたポテンシャルの高いワインに仕上がっています。今回は、2005年と2007年の比較テイスティングをしました。2005年は色合いもいくらかオレンジがかり熟成のピークを迎えた味わいですが、アルコール度数がやや高めに感じられるしっかりとしたワインです。2007年は、色はまだ淡めのレモンイエローで、酸が果実味をわずかにリードしつつも、全般的にバランスのとれたフレッシュ感のあるワインです。


このように、畑も品種も造り手も同一で、ヴィンテージ(収穫年)の違うワインを飲み比べることを「垂直テイスティング」といいます。逆に畑だけが違い他はすべて同一の場合は、「水平テイスティング」といいます。「百農民の会」の会員限定のこのワインを飲めて皆さんラッキーでした。


もうひとつのオリジナルワインは、「勝沼流」で飲む、一升ビンの登場です。




地元の農家が、自分ちの自慢のぶどうを持ち寄って、自分たちが飲むために、自分たちの手で醸造したワイン、いわゆる「葡萄酒」です。これを湯のみ茶碗で飲むのが勝沼流。今回は、リピーターさんが多かったので、何かおまけになることをしてあげたいと思い、何かないかなと見渡したところありましたありました。(と、言うより、いましたと言う方が正しい。)地元勝沼生まれ、勝沼育ち、現在も在住のマッキー(ニックネームです)が、初参加で来てくれていました。突然のお願いにもかかわらず、慣れた手つきで、おもしろおかしく「葡萄酒」を勧める、「飲めシー」のパフォーマンス。皆さん大喜びでした。更に、ご苦労前の葡萄酒が入って上機嫌のマッキーから、朝市会場周辺の、ぶどう発祥伝説のある山々や、日川(にっかわ)をはさんで対岸の、明治時代に建てられたワイン醸造所の「宮光園」などの歴史的背景なども聞くことが出来ました。この「かつぬま朝市ワインセミナー」は、日本のぶどうとワインの原点であるこの素晴らしい土地で開かれている事を、参加者の皆さんに知っていただけたと思います。

5月の緑の風が吹き渡る、本当にさわやかなワインセミナーでした。