かつぬま朝市ワインセミナーレポート by篠原



第41回
2011.08.07

●参加者  県外5名  県内5名  計10名
●講師  大山シニアソムリエ                      
●篠原シニアワインエキスパート
●アシスタント   のぶ子さん

●ゲスト  麻屋葡萄酒(株)  雨宮専務 様


●ワインリスト
1 麻屋ヴェール(甲州)2009  麻屋葡萄酒(株)
2 麻屋ロゼ(マスカットベリーA)2010  麻屋葡萄酒(株)
3 麻屋ルージュ(マスカットベリーA)2008 麻屋葡萄酒(株)
4 麻屋ノワール(甲斐ノワール)2007   麻屋葡萄酒(株)


●料理
1 ピクルス
2 お刺身こんにゃく+甘味噌
3 コロッケ 2種
4 クラッカー+ディップ
5 ぶどう(デラウエアー)



●セミナーの内容
1 甲州ぶどうのお話
2 甲州種ワインのお話
3 ワインテイスティングの方法
4 麻屋葡萄酒(株) 雨宮様のお話  

●レポート
今年の梅雨明けは7月9日で平年よりも12日早かったそうですが、梅雨が明けても寒かったりまた猛暑日だったり、さらに戻り梅雨だったりと天候不順の日が続き、ぶどうの生育にも少なからず影響があったようです。特に猛暑による高温障害でぶどうの粒が平年より小さいようです。我が家の甲州ぶどうはそれでも元気に着色期(ヴェレゾンといいます)に入り、ほんのりとピンク色がかってきました。

猛暑といえば、かつぬま朝市は得意中の得意ですが、今回も体から塩が吹き出す位の猛暑となり、テントの中でもワイングラスが温まってヒヤヒヤさせられました。しかし、なぜか大山シニアソムリエは暑さもものともせず涼しい顔。きちんと白いワイシャツに黒の蝶ネクタイ姿です。やっぱり気持の持ち方が違うのでしょうか。見習いたいと思います。



早速大山シニアソムリエによる、勝沼の歴史の学習とワインテイスティングの方法の練習です。グラスの中のワインを目で確認して、グラスを回して立ち上がる香りを嗅いで、少し口に含んで味わう。この時参加者の皆さんのお顔がワアーっと笑顔に変わります。この瞬間がとても楽しみです。試食のおつまみを摘まみながらしばし歓談。緊張していた皆さんの気持ちがほぐれ、笑い声が聞こえます。

さあ一息ついたところで、いよいよゲストの麻屋葡萄酒(株)雨宮専務のお話です。雨宮専務はこの朝市ワインセミナーは2回目の登場です。本日のワインは、麻屋さんの「花鳥風月」シリーズ(土着品種にこだわった和のシリーズ)から3本と麻屋さんから頂いたロゼの計4本です。


麻屋ヴェール(風)2009  甲州種で造られていますが、一般的な甲州のイメージと少し異なります。ややオレンジがかった淡目の黄金色、いよかんや洋梨などやや熟した果実の香りで、落ち着いたおだやかな味わい。ふくよかなボリューム感のあるワインです。この色合いとボリュームは、実はワインの造り方に秘密があるようです。まず、甲州種から2種類のワインを造ります。1つはぶどうを絞った果汁を発酵させる白ワインの醸造法で造った透明に近い色合いのワインで、シュールリー(オリと一緒に寝かせる)熟成したワイン。他方は、皮を付けたままのぶどうを潰して皮も一緒に発酵させる「かもし発酵」で、赤ワインの醸造法です。ただし赤ワインと違って1週間位で皮は取り除くそうです。この方法により凝縮感のある色とボリュームが得られるのですね。この異なった2種類のワインを絶妙なバランスでブレンドして、甲州種の特徴をめいっぱい引き出したワインと言えます。手間が掛かっていますねー。雨宮さんのお話を聞いて今まで疑問に思っていた事が、一挙に解決しました。納得しました。



麻屋ロゼ 2010  赤ワインの品種マスカットベリーAで造られた辛口のロゼワイン。色は淡目のローズピンクでちょっと大人の女性のイメージ。若い白桃、りんご、スモモなど果実の香り、優しい果実味と酸味、果皮からくる軽いタンニンとシュールリー熟成による落ち着いた味わい。アフターフレーバーにぶどう由来の甘い香りが華やぎを添える。近年ロゼワインが注目されていますが、辛口のロゼは幅広いお料理に合うとても素晴らしいワインだと思います。この季節、フレッシュな夏野菜や、サーモンなどのお魚類、また塩を振った焼き鳥などの鶏肉と合わせたいですね。ロゼワインは色の出し具合が難しいとおっしゃっていました。


麻屋ルージュ (花)2008  2番目のロゼと同じくマスカットベリーAで造られた赤ワイン。昨年2010年の国産ワインコンクールで銀賞に入賞したワインだけあって飲みごたえのあるワインです。たっぷりの果実味と程良い酸、軽いタンニンがバランス良く調和し、また、こくのある苦みがしっかりとした骨格を作っている。更に、樽の上品な風味が香りや味わいに複雑性を与えています。甘辛のタレにつけたお肉やヅケマグロに良く合いますと、雨宮さん。


麻屋ノワール (月) 2007  最後は山梨県の改良品種の甲斐ノワールで造られた樽熟成の赤ワインです。やや茶色がかったルビー色。ブラックベリー、カシス、ユーカリ、モカフレーバー、ロースト香などと共に和食の食材であるゴボウの香り。このゴボウの香りで一同大変盛り上がりました。香りに合わせたゴボウと牛肉の炒め煮に合いそうです。また、しっかりとした味わいで、果実味や酸と共に程良いタンニンが、荒々しく無いがどこかに野生味を感じさせて、鹿などのジビエにも合うそうです。ジビエならイノシシやクマはどうか調理する人が少ないなど、またひとしきりワイワイガヤガヤと盛り上がりました。    

ワインの造り手の醸造家と味わい手の参加者が、同じテーブルでヒザを交えてワイン談義に花を咲かせました。沢山の質問もでました。雨宮さんのワインにかける情熱やアッサンブラージュの会をはじめとする醸造家同士の仲間づくりにも熱いものを感じました。ますます山梨のワインに期待がもてそうです。







                                          
最後に本日試食のおつまみについて記しておきましょう・
今日のおつまみのメインは、皆さんにおなじみになりましたイタリアンレストラン「パパソロッテ」のシェフN村さんが差し入れしてくだっさった、2種類のコロッケです。1つ目は、トマト風味のライスコロッケ。イタリア風です。ベリーAなどの軽めの赤ワインに良く合います。もう1つは、菱山ポテト(地元勝沼町菱山で収穫したジャガイモ〉で作った和風コロッケで、中身がねっとりしていて甲州などの白ワインに良く合います。2種類のコロッケで赤と白のワインとの相性をみる面白い試みでした。でも中には相性をみる前に食べてしまった方もいましたが(笑い)。


暑い真夏の太陽の下でのかつぬま朝市ワインセミナー。テントの中でのワイン談義もホント熱かったですヨ。  フーあついアツイ。 おっと、大山シニアソムリエを見習わなければね・・・。