かつぬま朝市ワインセミナーレポート by篠原
第45回ワインセミナー 20120401



参加者 県外16名  県内3名  計19名
講師 大山シニアソムリエ ・篠原シニアワインエキスパート
アシスタント のぶ子さん
ワインリスト
1 ルバイヤート(白) 丸藤葡萄酒工業(株)
2 桜のワイン (ロゼ) 白百合醸造(株)
3 甲州一升瓶 (白)2011 新巻葡萄酒(株)
4 ルバイヤート (赤)  丸藤葡萄酒工業(株)



料理
1 干し柿
2 パン+ディップ
3 桜の葉せんべい・チーズラスク
4 漬物



セミナーの内容
1 「甲州ワイン」ってなに?
2 ワインテイスティング
3 ワイン談義

レポート
寒さも和らぎ、長かったワインセミナーの冬休み(12月〜3月)が終わりました。今年最初のセミナーです。         

この冬は、日本全国がまるで氷河期に入ってしまったかの様な寒さが続き、ようやく春を迎えた3月も連日の雨雨・・・。4月に入ったかと思うと、春の嵐で台風並みの突風が吹き荒れるといった具合に、思いもよらぬ気象状況が続いています。それでも我が家の甲州ぶどう達は元気です。表面は穏やかですが、去年の暮れに剪定した枝の切り口から樹液がポタポタと落ちてきています。 力強い生命力を感じます。これを見ると勝沼人(かつぬまびと)は、「ぶどうが水を上げてきた」と言って、来たるべき農繁期に向けて気持ちを引き締め、農作業の準備をはじめます。この季節にぶどう畑にやってくると、ぶどうの枝の広がり方や剪定の仕方などを見ることができて、とても興味深いですね。



今年最初のワインセミナーは、好天に恵まれ、朝市同様大賑わいで大山シニアソムリエも篠原もビックリ。早速スタートです。先ず最初は、私篠原が、「甲州ワインって何?」と皆さんに質問しました。実は、先日訪れたワイナリーで見つけたチラシに、「奈良の大仏様に、甲州ワインを献上する。」と書かれていたのが気になったからです。皆さんにこのチラシを見せて、「甲州ワイン」からイメージすることをつぶやいてもらいました。


「甲州市で造られたワイン」、「甲斐の国、山梨県で造られたワイン」、「甲州と 言うぶどうで造られたワイン」などのつぶやきがありました。正解は、甲州と言うぶどうで造られたワインですね。ワインラベル(エチケットとも言います)上で「甲州」と書かれている場合は、「ぶどうの品種」を指します。


「甲州」は、甲州ぶどう、日本ぶどう、本ぶどうなどいろいろな呼び名がありますが、甲州市などの地名と混同しやすいので、最近行政では「甲州種」と呼んで、地名と区別しやすくしています。以上のことから皆さんは、もう「甲州ワイン」は白が主体で、赤のワインは無い事を理解していただけたとおもいます。

この「甲州ぶどう」が日本だけにしか無い品種で、1000年以上前からここ勝沼でこの土地の人達「勝沼人」によって栽培され続けている事、またこのぶどうを使ってのワイン造りの先駆者である3人の人物、土屋助次郎と高野正誠と宮崎光太郎(ツッチーとタッチーと光太郎さんと篠原は呼んでいます)等々のおかげで、今私達が日川(にっかわ)のほとりの朝市会場で美味しい甲州ワインを楽しむことが出来ているという事にとても大切な意味があるとお話させていただきました。 

引き続いて、大山シニアソムリエによるテイスティング教室です。



1番目のワインは、「ルバイヤート白」です。甲州主体で、デラウエアーをブレンドしたこのワインは、優しいなめらかな味わいのワインです。
2番目は、「桜のワイン」です。淡いベビーピンクのロゼワインの中に、本物の可愛い八重桜の花が2輪ひらひらとおどっているような、いかにも春らしい華やかさと喜びを感じさせるワインです。いつまでも眺めていたいけど、飲まなければ味わえないので、思い切って栓を開けました。さて、そのお味は?


「おいしい!」という声。白桃を感じさせる仄かな甘み、たっぷりの果実味を優しい酸が引き締めて、とても爽やか。デザートワインとして飲んでも良いですね。
3番目は、皆さんお待ちかねの「甲州一升瓶2011」で、今年の3月に瓶詰されたばかりです。レモンやグレープフルーツなどの柑橘系の香 り、豊かな果実味と切れの良い酸、わずかな苦みがマッチして、フレッシュでシャープな辛口白ワインです。グラスと湯呑茶碗の両方で味わっていただきました。

最後のワインは、「ルバイヤート赤」です。ベリーA主体で、カベルネソーヴィニヨン、ブラッククイーンなどがブレンドされています。落ち着いた赤色、ストロベリーや、フランボワーズ(木いちご)、イチゴのジャムのような香りで、口に含むと落ち着いた感じがします。


熟した果実味とやや抑え気味の酸、きめの細かいタンニンが、まろやかな感じで口中に広がります。アフターにぶどう由来の香りがもどってくる、しっかりした味わいのミディアムボディーの赤ワインです。今期からルバイヤートの白と赤が、このワインセミナーのハウスワインとしてほぼ毎回登場しますので、リピーターの方には、たっぷりと楽しんでいただけると思います。テイスティングの外に、大山シニアソムリエのワイン談義として、ワインとお料理の相性について、又、ワインの勉強には同じ品種のワインを何種類か飲み比べるのが良い、などのテイスティングの秘訣を教えていただきました。




ワインのおつまみですが、今回から内容を変えて、手軽で簡単にワインと合わせられるものを主に提案していきたいとおもいます。不況や地震、異常気象など、不安な要素が山積している現実ですが、月に1度の朝市で皆さんとワインを楽しみながら、ほっとするひとときを過ごしていただけたらと、そんな思いで今年も頑張っていきたいと思います。次回は、ゲストに若手のぶどう栽培家が登場する予定です。どうぞお楽しみに。

篠原