かつぬま朝市ワインセミナーレポート by篠原
第47回 2012.06.03

参加者 県外21名 県内4名 計25名
講師 大山シニアソムリエ ・篠原シニアワインエキスパート
ゲ ス ト (有)マルサン葡萄酒  代表 若尾亮 様
アシスタント のぶ子さん

ワインリスト
1 ルバイヤート(白) 丸藤葡萄酒工業(株)
2 ルバイヤート(赤) 〃
3 Vin de Wakao(ヴァン・ド・ワカオ)2011 (有)マルサン葡萄酒
4 MIWAKUBO(ミワクボ)プチベルドー2010 〃

料理
1 ドライフルーツ
2 ピクルスとスモークチーズのミニ串
3 クラッカー+ルバーブジャム
4 旬の野菜



セミナーの内容
1 甲州ぶどうのお話
2 甲州種ワインのお話
3 ワインテイスティング
4 本日のゲスト (有)マルサン葡萄酒 代表 若尾亮 様のお話




レポート
6月の勝沼は本当に美しい。太陽に輝くぶどうの新緑が目にまばゆい位です。我が家の甲州ぶどうの成育は順調で、芽の伸びも良く、ぶどうの房の長さは既に10p以上もあります。長い房に細かい蕾がびっしり付いて、小さい白い花がちらほら咲きだしています。この可愛らしい小さな花も皆さんに見て頂きたいですね。

6月のワインセミナーは、前回の最悪コンディションにもめげなかったリピーターさん3組をはじめ、大勢のお客様が来てくれました。実はきょうもお天気の様子があやしいので、いつ降り出してもOKなように大雨対応のテーブルの配置にしてさあスタートです。
まず最初は、いつものように大山シニアソムリエによる「甲州ぶどうのお話」と「甲州種ワインのお話」です。最近、朝市会場のすぐ近くにある、日本のワイン産業の原点と言える「宮光園」を見学してきた大山シニアソムリエは、早速その成果を披露して「宮崎光太郎」さんのお話もふくめて、日本のワインの歴史を話してくれました。続いてワインテイスティングの方法を学びました。テイスティングワインは、ルバイヤート白とルバイヤート赤(丸藤葡萄酒工業)です。アン、ドゥ、トロワのかけ声とともに外観、香り、味わいをみていきます。皆さんとても楽しそうでした。(ルバイヤートワインのコメントは第45回のレポートで)



テイスティングの後は、いよいよ本日のゲスト若尾さんの登場です。



若尾亮さんは(有)マルサン葡萄酒の代表です。甲州街道勝沼宿にある若尾家では、今から約300年も前の江戸時代には既にぶどう栽培をしていたそうです。
ワイン醸造は約70年の歴史があり、現在は観光ぶどう園とワイナリーを経営しています。ぶどうは、生食用が60%ワイン用40%で、ワイン用のぶどう品種は、甲州、メルロー、シャルドネ、プチベルドなどです。特にプチベルドはこの勝沼の気候風土に適していると考えていて、将来栽培面積を増やして、プチベルド単一品種のワインを極めたいと思っているそうです。いつもはユーモアたっぷりに人を笑わせるのが上手な若尾さんですが、ことワインの話になると、真剣に熱い思いを語ってくれました。また、参加者の皆さんがあまり見る機会が無いだろうからと、畑からシャルドネの花が咲いているぶどうの房を取ってきてくださり、みんなに見せてくれました。ほとんどの方が初めて見るぶどうの花に感動していました。とても有難かったです。若尾さんのお話を聞きながら2種類のワインをテイスティングしました。



「Vin de Wakao 2011」 (ヴァン ・ド・ ワカオ) 白ワインです。これはとてもユニークで珍しいワインです。
透明に近い淡いピンク色。甲斐路や巨峰など生食用ぶどう21品種のぶどうを混ぜて絞って造った白ワインです。品種の数に驚きました。アカシヤなど白いお花、熟した白桃、洋梨、ナッツ、パインなど果物屋さんの店先にいるかのような華やかな果実香が上がってきます。豊かな果実味、おだやかな酸、苦みはほとんど無く、飲み込んだ後に白桃など熟した果実を丸かじりしたようなフルーティな後味が続く。大勢で、わいわいとバーベキューでもやりながら、気軽に飲みたいワインです。

2番目のワインは、若尾さんが熱い思いを注いでいる、プチベルド100%の赤ワイン「MIWAKUBO 2010 プチベルドー」 (ミワクボ)です。一見してびっくり!非常に濃いです。エッジに紫色があり、若さが感じられますが、中心は暗紅色で何も透けて見えません。濃厚なガーネット色と言ってよいでしょう。ブラックベリー、ブラックチェリー、カシス、八角、スパイス、ミント、鉄など複雑な香り。凝縮した味わい、酸はやや控えめ、中〜後盤にかけてしっかりとした収れん味(タンニン)が現れ、このワインの骨格を造っている。アタック(ワインが口に入った時の感じ)からアフター(ワインを飲み込んだ後の感じ)まで通して感じる紅茶のような清々しさが、濃厚な色のわりに飲みやすい軽快さを感じさせるミディアムフルボディの赤ワインです。熟成してタンニンがこなれてきた時のこのワインを是非飲んでみたいですね。期待しています。お料理は、豚肉のみそ炒めに合うそうですが、スキヤキにも合いそうです。



今回は、なかなか味わえない(数量が限られているので、ショップには置いてないそうです。どうしても飲みたい方は、若尾さんと交渉してください。)珍しいワインと出会うことが出来ました。若尾さんは、ぶどうを皮のまま食べた時の味をワインに出したいとの思いでワインを造られているそうですが、お話を聞いていて、何かまた思いがけないワインを私達に見せてくれるのではないかとそんな気がしました。これからも、マルサンワインから目が離せませんね。

若尾さん楽しいお話有難うございました。
ワインって本当に楽しいですね。まだまだ可能性をいっぱい秘めていそうですね。
それでは次回をお楽しみに。     篠原