かつぬま朝市ワインセミナーレポート
第76回 2015.11.1
参加者
県外9名  県内12名  計21名

講師 篠原シニアワインエキスパート

ゲスト
ワインノミナー主宰
相川園(ワインエキスパート)様


アシスタント 深澤さん、尚枝さん      

ワインリスト

・デラウエアー にごり 2015 まるき葡萄酒(株)
・甲斐ブラン 2014 麻屋葡萄酒(株)
・あじろん初しぼり 2015 蒼龍葡萄酒(株)
・いろ 甲斐ノワール 2014 まるき葡萄酒(株)


セミナーの内容
1 本日のテーマ「てっ!これはうまい葡萄酒じゃん!!」
2 テイスティングワインについて
3 ワイン俳句について
4 ゲストの「ワインノミナー・ 相川園様のお話

 
レポート
勝沼の秋。それはぶどうの葉の色づきから始まります。実りの役目を終えたぶどうの木が順々に色をまとっていきます。デラウエアーは黄色、フジミノリやピオーネはオレンジ色、マスカットベーリーAもオレンジ色、甲斐路や甲州は紅、シャインマスカットは黄緑色。自然のおりなす秋色のじゅうたん。見事です。一寸覚めた目で見ると、必ずしも白ぶどうは黄色、黒ぶどうは赤色と決まっていないようです。ぶどう達も個性豊かです。


さあ、久々に気持ちの良い秋晴れの朝市です。思い切ってテントなしでワインセミナーをやっちゃいましょう。いつもテントを目印にやって来てくださる皆さんも、「あれっ?」という顔で来られます。皆さん揃ったところで、開放的な気分でワインセミナースタートです。
本日は今シーズン最後のセミナーですので、ワインを飲んで思いっきり楽しんじゃおうという企画で、「てっ!これはうまい葡萄酒じゃん!!」のテーマにしました。


ワインのテイスティング用語は、世界共通語(標準語)で、とても固いイメージがあります。もっと気楽にワインを語ってみようという事で、今日は参加者それぞれに、地元感をたっぷりと出したお国言葉で、大いに語っていただきたいと思います。

皆さんにテイスティングしていただく本日のワインですが、2015の甲州ヌーヴォーはあさっての11/3に解禁ですので、まだ紹介できません。すでに販売されているヌーヴォーワイン2種類と、前回話題に上がった山梨県のオリジナル品種2種類をご紹介致します。

ゲストの紹介です。もう皆さんお馴染みの、甲州ワイン大好き感たっぷりの、ワインノミナーこと相川園さんです。ワインエキスパートです。以下ノミナーさんと呼ばせていただきます。ノミナーさんによる最初のワインのテイスティングです。



デラウエアー にごり 2015 まるき葡萄酒(株)  今年の新酒です。
外観です。まず色を見ます。「この色を見て何か感じますか?」の問いかけに、「濁っている。」の声がかかります。「どうして濁っているかを考えながら飲みましょう。」


次に香りを嗅いでみます。最初はそのままで、そして次はグラスを回して香りを嗅ぎます。この時に、香りのボリュームが大きいか小さいかを確認します。グラスを回すと、デラウエアーのぶどうそのものの甘い香りが感じられると思います。 
この後、ワインを口に入れます。まず、ぶどうそのものの果実の風味(果実味と言います)と甘みと酸味を感じますが、ワインのにごり(オリ)があるので、少し酸が和らいで感じられます。

皆さんの方から、「おいしい!」、「甘酸っぱい!」、「この濁っているのはなぜ?」、「どこで買えるの?」など色々な声が聞こえます。
ノミナーさんのお話です。このにごりワインの中に浮いて見えるものが、発酵を終えた酵母の殻です。ワインを造るには、ぶどうに含まれる糖分を酵母が食べてアルコールと炭酸ガスに変化するのですが、糖分を食べたままで、まだアルコールに変わらない酵母が沢山この中に残っているから、ワインが甘く感じられるのです。


「じゃあ、私達はワインに含まれている生きた酵母を飲んでいる訳ね。胃の中で発酵したら、二日酔いになっちゃうじゃんね?」と私篠原がジャジャを入れます。そこでノミナーさん、大真面目に、「酵母は人の体内では発酵しません。」にみんなで大笑いです。楽しいー!!このにごりワインの話だけで今日のセミナーが終わっちゃいそうなので、あわてて次のワインに移ります。

2番目のワインです。
甲斐ブラン 2014 麻屋葡萄酒(株) 麻屋ワイナリーが、山梨県の土着品種とオリジナル品種のみで造っている、「花鳥風月」シリーズの中の「鳥」です。

甲斐ブランというぶどう品種ですが、山梨県果樹試験場が1992年に品種登録をしたオリジナル品種で、甲州とピノ・ブランを掛け合わせてつくられた交雑種(ハイブリッド)です。日本固有の品種です。ピノ・ブランは、ヨーロッパ系のワイン専用品種ですが、フランスのアルザス地方で多く栽培され、ドイツやイタリアでも栽培されワインが造られています。
ノミナーさんによるテイスティングです。
透明な輝きのある美しいワインです。1番目のワインとこのワインを左右に持って見比べると、その透明度の違いがはっきりわかりますね。グラスのふち(エッジ)にグリーンの色が見えます。このグリーンが見えるのは、このワインがまだ若いワインと言えます。グリーンや黄色の柑橘、カボスやレモン、グレープフルーツ、青りんごなどの香りがします。味わいはドライの感じが強く出ています。果実味や軽い苦みをしっかりとした酸がリードして、最後まで口中に残り、力強さを与えています。レモンをしぼってかけたお料理が食べたくなるようなワインです。


ここでワインのアルコール度数について考えてみました。ワインを味わう時に、アルコール度数も大切な要素です。外観では、色の濃さ、色調、粘性などから、香りでは、香りのボリュームから、味わいでは、アタックの強さ、滑らかさ、凝縮感、アフターフレーヴァーや余韻の長さなどから判断します。一般的に甲州ワインのアルコール度数は、12%〜12.5%位ですが、この甲斐ブランはそれより少し高めの感じがしました。
1番目の「デラウエアーにごり」のアルコール度数を皆さんにお聞きしました。12%、10%などの声が上がりましたが、ずばり8%と正解を言われた方がいて、驚きました。「デラウエアーにごり」は、やや甘口に造られていて、アルコール発酵を途中で止めていると思われますので、それによりアルコール度数も低くなっていると思います。

3番目のワインです。
あじろん初しぼり 2015 蒼龍葡萄酒(株) 今年の新酒です。
 ノミナーさんによるテイスティングです。


外観は明るい赤色。輝きがあります。香りは甘いぶどうの香り、グレープジュース、熟したイチゴの香りがします。香りのボリュームは大きいですが、複雑な香りではなく、どちらかと言えばシンプルな香りだと思います。味わいは、まずぶどうそのものの甘みを感じ、フレッシュで、しっかりとした酸と若々しいタンニンを感じます。若いワインですがバランスがとれていて、非常にフルーティーな味わいのワインです。

「甘くておいしい!」、「あじろん最高」の声がかかります。

ワインの甘さを感じさせる香りについてのノミナーさんのお話です。
デラウエアーもアジロンもアメリカ系のぶどう品種です。ヨーロッパでは、アメリカ系品種から出る甘い香りは、「フォキシーフレーバー」と言ってあまり好まれませんが、日本では、ワインを初めて飲む人にとっては、甘くて美味しいと好まれます。あまり難しいことを言わずに、美味しいとワインを楽しんで飲んで欲しいと思います。

ワインのボトルに「幻のワイン」と書かれていることについて。
このアジロンというぶどう品種は、正しくはアジロンダックと言います。明治10年に、ヨーロッパの本格的なワイン造りを勉強する為に、勝沼の二人の青年がフランスへ留学しました。明治12年に帰国して、初めて造ったワインが、白は甲州、赤はアジロンダックと言われています。アジロンダックは、生食用としては、特徴的な甘い香りと味が喜ばれますが、完熟すると粒が梗からはずれやすく、輸送に向かないことから、いつしか栽培されなくなってしまいました。近年、このアジロンダックで造られたワインに人気が出て来て、なかなか手に入りにくい「幻のぶどう」とか、「幻のワイン」と言われるようになったのです。最近ではいくつかのワイナリーで、アジロンダックのワインが造られるようになって、以前より手に入りやすくなりました。

最後のワインです。
いろ 甲斐ノワール 2014  まるき葡萄酒(株)
まるき葡萄酒さんの定番ワイン「いろシリーズ」のワインです。

甲斐ノワールというぶどう品種も、2番目にテイスティングした甲斐ブランとほぼ同時期に山梨県果樹試験場が品種登録をした、オリジナル品種です。ブラック・クイーン(日本のハイブリッド品種)とカベルネ・ソーヴィニヨン(ヨーロッパ系の品種)を掛け合わせてつくられた交雑種(ハイブリッド)で、日本固有の品種です。

ノミナーさんによるテイスティングです。
紫がかった深い色合いのルビー色で3番目のアジロンより紫が濃い。ブラック・クイーンもカベルネ・ソーヴィニヨンも濃い紫色の出る品種なので、色の濃いワインを意識してつくられた品種だと思われます。香りは、ブルーベリーやカシス、すーっとするミントや黒コショウの様な香り、少し茎のような香りも感じられます。味わいですが、まずタンニンが強く収れん味を感じます。酸も若々しくしっかりとしているので、個性の強さが表面に出たワインになっていますが、あと1〜2年経って味わいが落ち着いてくると、果実味も含めバランスが整ってくると思われます。時間の経過と共に楽しみが増すワインだと思います。
私は、以前、甲斐ノワールの10年位経ったワインを飲みましたが、熟成したまろやかな味わいで、美味しかったのを覚えています。ただし、熟成したワインは抜栓すると、味わいの変化が速いので、早く飲むことをお勧めします。

ノミナーさんによる4種類のワインのテイスティングが終わりました。今しか飲めないフレッシュなヌーヴォーワイン2種類と、山梨県のハイブリッド品種のワイン2種類で面白い飲み比べになりました。


さて、これからは、参加者の皆さんが主役のお楽しみタイムです。皆さんの積極的な参加で、今シーズン最後のワインセミナーを盛り上げましょう。
今回のテーマは、「てっ!これはうまい葡萄酒じゃん!!」です。形式にこだわらずに、ワインの美味しさを自分の住んでいる地方のお国言葉(方言)で表現してみましょう。
最初は地元、山梨県甲府市の方です。「てーっ、うまいじゃんね」甲州弁です。以下地方とお国言葉のみ記載します。神奈川 「うまいじゃん」、山梨県都留市「うまいらー」、埼玉 「うまいっぺ」、東京「おいしい」、東京「おいしゅうございます」、千葉「おいしいじゃん」、静岡(西)「どうまいら・うまいだら」、静岡(東)「ばかうまい」、山梨県鳴沢「うまいら」、千葉「おいしかったです」、「うめーなー」「おいしいです」「まってうめーなー」、広島「ぶちうまい」、名古屋「でら、うみゃー」神戸「めっちゃ おいしい」とその返事「ん だべ」、東京(西)「おいしい」、長野「うまいじゃん」何て楽しいことでしょう!!! 皆さんに一回りする間、笑い通しです。
ワインは皆で楽しくわいわい飲むのが一番。難しい垣根を取り払って気楽に飲みましょう。

大笑いした後は、今回初めてこのワインセミナーに参加された4人の方に、デビューを記念して乾杯の音頭をとっていただきました。参加者の皆さん、大きな拍手で歓迎の気持ちを表していただき有難うございました。
楽しかったセミナーも終わりの時間になりました。
ゲストのワインノミナーこと相川園さん、お忙しいところをご協力いただきまして、本当に有難うございました。またのご出演をお待ちしております。


最後に、皆さんの力作のワイン俳句を披露して、今シーズンのかつぬま朝市ワインセミナーも無事閉幕です。
次回は来年2016年4月3日です。また来年もこのセミナーでお会いしましょう。
ごきげんよう。   篠原



ワイン俳句
セミナーの 青空ワイン 勝沼郷             残念 お名前なし
神戸にも ワインあるんで 飲みに来て          紬 さん
ゆるキャらの ツッチーとタッチー いつできる      半老犬 さん
赤とんぼ あいつもあじろん のんだのか         くー さん
アジロンは 香りがよくて とてもいい          マッコイ さん
そとでのむ にごりをのんで みなにこり!!       ぶどう さん
赤トンボ ワインの香りに 誘われて           K さん
今年もね 新酒ワイン おめでとう            残念 お名前なし
大泉 大行列後 セミナーに               残念 お名前なし
方言で ワインあらわし 広がる輪            Y さん
秋空を 映すグラスの にごり酒(デラ)         残念 お名前なし
勝沼の にごりワインと 秋の空             ひつじ さん
ワインのみ のめばのむほど 顔もみじ          残念 お名前なし
でらうみゃ みんなで飲む 甲州ワイン          迷走名人 さん
楽しいな 青空の下で 飲むワイン会           ばやちゃん さん
ワインはね ウンチク言わずに マイこのみ        もりえ さん
甲州の ワインで乾杯!! 秋の空             しもどん さん
甘口も 酵母のおかげで さっぱりと           Taes さん
ありがとう ツッチータッチー お世話さま        Eugene さん
秋空の 下(もと)に輝く ワインたち          カナカナ さん
あきぞらと ワインセミナー おとくかん         残念 お名前なし




以上です