田草川しらべ(調査)隊
20090815
 



勝沼生まれ勝沼育ちの“田草川”。捨てた川ではないが、川底はきわめて不健康という診断がくだされました。



7年前から始まったこの活動、今回は4年ぶりに復活です。



5月に行われた「市長と語ろう私たちのまち」のシンポジウムの中で「地元の川を見直してそこからまちづくりができないか」という提案が出され、甲州市の都市整備課の主催で、田草川しらべ(調査)隊が復活しました。

しらべ隊の活動を休止していた間も水質調査を続けてきた県立日川高校の佐藤教諭を隊長に、水中班、水質班、植物班の3班によって編成されました。各班には専門家の先生にも入っていただきました。


植物の専門家の先生


私たちが7年前から取り組んでいる活動が認められ、田草川の整備が予算化されたようです。

山梨県の河川管理課長もしらべ隊に同行してくれました。



事前調査(川全体の調査をしました)



調査を始めるまえに私から子供たちにこの川の抱えている問題を説明しました。少しむずかしい話しでしたが、真剣に聞いてくれました。
  
水中班(魚)


捕まえた魚の数と種類です。(魚類個体数記録表) 天候:快晴
田草川魚類調査
場所 鴨居寺橋下流 鴨居寺橋下流 伏木橋
時刻 9:10〜9:30 9:30〜9:50 10:30〜10:50
漁具等 たも網10名、水温24.3℃ たも網9名、水温25.3℃
魚種
アブラハヤ 38 21 49
カワヨシノボリ 23 34 5
オイカワ 3 26
シマドジョウ 1 1
オタマジャクシ 5

調査者:たも網10名 (mm)
場所 鴨居寺橋下流
時刻 9:10〜9:30
漁具等 たも網10名、水温24.3℃
魚種 アブラハヤ カワヨシノボリ オイカワ シマドジョウ
1 43 46 45 47
2 82 47 17
3 70 53 17
4 92 58
5 32 41
6 36 42
7 21 28
8 28 45
9 25 38
10 31 51
11 22 46
12 36 47
13 25 29
14 23 40
15 28 33
16 23 36
17 24 24
18 33 26
19 31 20
20 31 20
21 33 17
22 34 19
23 32 21
24 36
25 28
26 26
27 33
28 27
29 27
30 24
31 27
32 33
33 25
34 27
35 23
36 27
37 23
38 30
アブラハヤ
全長 個体数 割合
20≦ 20 52.6
30≦ 14 36.8
40≦ 1 2.6
50≦ 0 0.0
60≦ 0 0.0
70≦ 1 2.6
80≦ 1 2.6
90≦ 1 2.6
カワヨシノボリ
全長 個体数 割合
10≦ 2 8.7
20≦ 7 30.4
30≦ 3 13.0
40≦ 8 34.8
50≦ 3 13.0






水柱班(水生生物)

水生生物記録表
場所 鴨居寺橋 伏木橋
時刻 9:20 10:40
種類 水質階級
コオニヤンマ U
ミズムシ V
ヒル
セスジユスリカ W
サカマキガイ
判定結果 V V




水質調査班は上記の6箇所の橋梁の周辺を調査しました。これらの地点はすでに7年間のデータが蓄積されています。

※県立日川高校の佐藤浩美先生が地元の高校生に呼びかけて7年間の間、水質調査だけは続けてきました。
 
水質の専門家風間先生も
自ら採水します

当日報告会

水産技術センターの大浜さんの調査結果と感想です

●調査結果
○魚類
・アブラハヤ、カワヨノボリ、オイカワ、シマドジョウが確認された。
・河川形態(河床勾配、底質)、水量、水質、採捕方法から考え、一般的な種類、数量と考えられる。
・以前の調査と比較すると、一番多いのはアブラハヤである傾向に変わりはないが、これまで確認されなかった、カワヨシノボリが非常に増加していたが、その理由については不明である。
・以前確認されたウグイ、ナマズ、フナ、ドジョウが採捕されなかったが、子供たちを中心に採捕を行った影響が考えられる。
・伏木橋で出現種数が少なかったのは、鴨居寺橋より上流であったこと以外に、水質の悪かったことが影響している可能性がある。
・アブラハヤの全長の頻度分布で、稚魚(当歳魚)と成魚に分けることができ、再生産が行われていた。
○水生生物
・両地点とも個体数、種類とも貧弱で、ヒルが優先していた。
・下流に比べ上流の伏木橋は水質階級Wの「大変きたない」にランクされる生物が出現したが、集計の結果両地点とも水質階級Vの「きたない水」に分類された。

●今後の方向性
 子供たちが遊べる田草川を目標とするのであれば、次のようなことはいかがでしょうか。
○これまでの調査
 現在の調査を続けるだけで、河川の環境が改善されるとは思われないので、既に現在の調査項目で、ある程度の状況が分かっていることから、必要の生じるときまで休止する。

○問題点
 田草川で問題なのは、魚が住みにくいことではなく、@下水が流入して水質が悪いこと、A生活ゴミや農業のゴミが投棄されていること、B地域住民の関心がないことと思われる。これが解決できる目処が立った段階で、河原ヘのアプローチの整備、さらにその先に魚の生息環境改善
が必要になると考えられる。

○下水の流入
 水質について一定時間おきに24時間観測を行い、水質の悪化が家庭雑排水と連動していることを確認する。家庭雑排水が出ない日(元旦?)との比較ができれば一番良い。

○ゴミ
 一定区間内における河川内のゴミを回収、区分、計量することで、ゴミが地域社会から発生していることを確認する。複数回実施し増減を記録する。
 区分(農業、家庭生活、工業、商店、自営業等)
   (プラスチック、ビン、カン、ペットボトル、果物、草木、金属)
(製造年月日)(大きさ、重さ)
 
○広報
 地域住民の関心を高めるため、下水とゴミの調査結果を @市の広報への掲載、A回覧板への折り込みチラシの作成、B自治会の会合での報告等を行う。その際には次回調査日(河川内ゴミの回収)への協力を要請する。

慰労会