かつぬま朝市ワインセミナーレポート
第88回     2017.7.2


参加者
県外0名 県内10名 計10名

講師
篠原シニアワインエキスパート 

ゲスト
「ビストロ ミル・プランタン」 オーナーソムリエ 五味丈美様


アシスタント
深澤さん、尚枝さん

ワインリスト
・かざま甲州辛口 2016 甲斐ワイナリー(株)
・シャンテ ロサード ドゥミセック 2016   (株)ダイヤモンド酒造
・シャトー・シャルマン カベルネ・フラン白須 2013 江井ヶ嶋酒造(株)
・シャトー・メルシャン 日本のあわ 勝沼甲州  メルシャン(株)


セミナーの内容
1 本日のテーマ「ソムリエの五味さんに聞いてみよう」
2 テイスティングワインについて
3 ワイン俳句について
4 ゲストの「ビストロ ミル・プランタン」オーナーソムリエ


レポート
今年の梅雨入りは6月7日でした。梅雨といっても6月中は雨はごく僅かしか降らず、気温が30度を超える猛暑の日も何日もありました。農作物にも雨不足で少なからず影響があるようです。ぶどうについては、例年では梅雨の時期が丁度開花にあたり、花振いに悩まされますが、今年は雨に当たらなかったので実付きが良いようです。この後適度の雨量と十分な日照量が確保できればありがたいです。さて、今日の朝市ワインセミナーですが、最高気温が34度の予報で、曇りながら早朝の降雨のため湿度が上がってムシムシしています。ワインが入って熱中症にならないように参加者の皆さんに注意喚起をしなければと思っています。




 五味丈美様のお話
7月のゲストは「晴れ男さん」と前回予告をしたとおり、雨雲を払いのけてくれた「ビストロ ミル・プランタン」のオーナーソムリエであります五味丈美さんです。今回で4回目のご出演です。では五味さんよろしくお願いします。


皆さんこんにちは。短い時間ですが、皆さんと一緒に楽しみたいと思います。早速テイスティングをと思いましたらワインボトルの抜栓の方法を教えてということですので、これから抜栓します。
ワインボトルの抜栓の方法
@ コルクを覆っているキャップシールは、下の方のくびれた所に刃を入れて、腕を回転させながらぐるっと回してカットします。
A カットした部分が取れやすいように1か所縦に切り込みを入れると、キャップシールが簡単に取れます。
B スクリューの爪は下向きにしてその先端に人差し指を当て、コルクの真ん中めがけてキュッと差し込み、2回位押し込みます。スクリューを2〜3回まわしてコルクの真ん中に立てて、カギの部分を引っ掛けて上に引き上げます。私はソムリエナイフはダブルアクションのものを使っています。9分目位抜けたところでコルクを向こう側に倒すとシュッと抜けます。


〜さすがプロの手さばきは見事です。「スクリューがどうしても曲がってしまうのですが」の質問に「最初に人差し指で位置を決め、スクリューを刺した後2回位押し込むとスクリューが固定されて真っ直ぐ下に刺さります。」と答えが返ってきました。〜

五味さんのお話です。
コルクについてお話しましょう。今開けたボトルのコルクですが、ディアムと書かれていますね。これは細かく砕いたコルクを圧縮し接着剤で固めて作られています。天然コルクより安価でブショネになりにくい利点があります。ディアムの横に1,3,5などの数字が書かれていますが、これは使用できる年数です。長期熟成しないワインに向いています。

それではお待ちかねのワインのテイスティングに入ります。
@ かざま甲州辛口 2016 甲斐ワイナリー(株)

2016年の甲州は、雨が多くて厳しい年でしたが、ワインはきれいに仕上がっていますと言うワイナリーのコメントでした。ややグリーンがかった透明に近い淡いレモンイエロー。香りはりんご・洋梨などの白い果実、華やかなお花の香り、ハーブなど。味わいはフレッシュな酸がありますが、それ程強くないので後半にほのかな甘みを感じて、優しい味わいになっています。最後に僅かな苦みも感じますね。少し時間が経つと香りや味わいが変わってきますので、それも感じてください。
合わせたいお料理  おダシで味付けした野菜、魚介をおダシに浸したものなど和食のやさしいおダシと合わせると良いと思います。

A シャンテ ロサード ドゥミセック 2016 (株)ダイヤモンド酒造
ロサードとはスペイン語でロゼの意味、ドゥミセックとは中辛口又はやや甘口の意味で使います。マスカット・ベーリーAを醸し、ある程度色が付いてきたらセニエ法で液の引き抜きをした後、通常ならばそのまま発酵を続けるところですが、少し糖を残したまま発酵が止まったので、その糖を生かしてドゥミセックとしたそうです。アルコール分は12.5%です。
きれいな桜色にサーモンピンクが加わったロゼ色。フィルターに掛けていないので少し濁りがありますが美しい色合いです。香りは綿あめ、いちごやチェリーのジャムの様な香り、又ベーリーA独特の香りの砂糖を加えたゆであずきの様な香りもとれます。口に含むとフレッシュな酸味とフルーティーな味わいがバランス良く出ています。アルコールのボリュームからくる舌を熱くさせる感じがあります。
合わせたいお料理  この程良い甘みには、甘辛く煮た鳥モツ煮とか、カレーなど辛味のあるものと合わせると、ワインの甘みが生かされます。

B シャトー・シャルマン カベルネ・フラン 白須 2013 江井ヶ嶋酒造(株)
3番目は赤ワインです。去年(2016年)の日本ワインコンクールで銀賞をとったワインです。シャルマンとは魅惑的なとか魅力的なという意味です。親会社は江井ヶ嶋酒造さんといって、兵庫県で日本酒や焼酎などを造っている会社です。昭和38年に山梨県北杜市にワイナリーを竣工、既に50年以上もワインを造り続けています。基本的にはヨーロッパ系品種が多く、ワイナリーのトップキュヴェとしてカベルネ・フランを造っています。今日のワインは「白須」とワイン名に表記されていますが、このワインの上級クラスに「尾白」と銘々されたカベルネ・フランもあり、「白須」の方が柔らかい印象があり、「尾白」のほうがミネラル感のあるボリュームワインになっています。

テイスティングです。
カベルネ・フランの特徴のシシトウとかピーマンのような青い野菜の香りがあります。色が濃くタルからくるバニラやスモーキーの香りも感じます。優しいタンニン、爽やかな後味、ビターチョコのような甘みが余韻に残っていますがバランスが良く、お値段を考えると非常にコストパフォーマンスが良いワインです。このワインのぶどうは自社畑100%です。
〜おいしい!いいね!の声あり〜





C 最後のワインはスパークリングワインです。


抜栓のしかたです。まずキャップシールをはずし、ボトルの頭を指で押さえながら針金を緩めます。そして手のひらで針金の上からしっかりと握ります。もう一方の手でボトルの下の方をつかみ、両手で同時にひねります。ただしキャップの方の手は回すというよりも固定しておく感じで、ボトルをつかんでいる方の手で回します。コルクが上がってきたら向こう側に少し倒すと、シュッとガスが出てコルクが外れます。

〜五味さんが説明しながら実演してくださっている間に、気が付かない位小さな音がシュッとしてコルクが外れました。皆さんから大きな拍手が送られました。




さあこの後は五味さん恒例のサーベラージュタイムです。それぞれがグラスを持って原っぱの方へ移動しました。五味さんを半円に取り囲んで、円の切れている方(車の無い方)へ向けてキラキラ光るサーベル(ラギオール製)が空を切りました。とたんにポーンと音がして、スパークリングワインのボトルがスパッときれいに切れ、ネックの部分が3メートルも飛びました。コルクにしっかりと針金が巻き付いたままです。ボトルに針金とコルクがしっかりと結ばれていることから、縁起が良いとされ、華やかな結婚式のパフォーマンスとしてシャンパン・サーベラージュが行われるそうです。


今回のセミナーに本日がお誕生日という方がいらっしゃると聞いたので、特別に五味さんの手でその方のグラスにワインをサービスしていただきました。そうしたらもうすぐお誕生日を迎えると言う方がお2人出ていらっしゃったので、3人合同のお誕生日のお祝いに歌を歌って乾杯をしました。しっかりとした味わいのスパークリングワインがこの場を上手に引き立てて、ひときわ美味しく感じられました。





賑やかなサーベラージュの後、もう一度席に着いて今度はテーブルマナーを教えていただきました。〜

五味さんのお話です。
乾杯の方法ですが基本的にはグラスはぶつけません。公的なパーティーでは、グラスを手で上げて目でアイコンタクトをとって行います。それからテーブルに着席する時のバッグですが、小さいものならば自分の背中と椅子の間に挟んでも構いませんが、大きいバッグはマナー違反です。椅子の下とかテーブルの下の自分の右足の方に置くのが良いでしょう。お料理をサービスする人が、左側から椅子の下に足を入れてサービスするので、邪魔にならないようにする必要があります。お皿を下げる場合は右側からですが、バッグがテーブルの下の奥にあれば問題ありません。又、椅子の背に大きなバッグを掛けると椅子をキズ付ける可能性もありますので、これも違反です。

パンは主食として食べるものでは無く、料理と料理の間のワンクッションおく為の物として食べてください。また、大きく切ってあるバケットをそのまま口に運び歯でちぎって食べるのは見た目が良くありません。ひと口大に手でちぎってバターを付けて食べましょう。またパンを使ってお皿のソースをきれいにふきとって食べるのは、ヨーロッパではOKですがアメリカではNGになる場合もありますので気を付けましょう。二人以上の場合、お料理は一緒に食べ始めて、大体皆同じ位のペースで食べ終わるのが良いでしょう。特に男性は、女性のペースに合わせるのが良いと思います。

レストラン側に喜ばれるお客様としては、帰り際に「今日はとても楽しかったです」とおっしゃっていただけると嬉しいです。この言葉の中には、食事が美味しかったばかりではなく、サービスも雰囲気も良かったという意味が含まれていますので、早い内に言ってくださると何かサービスが変わってくるかもしれません。(笑)

食事を終る時にナプキンを綺麗にたたむとマナー違反ですか?という質問ですが、あまり綺麗にたたまれていると使われなかったのかまだ使うのか分かりにくいです。トイレに立つ場合とか、食事が終わった時は軽くたたんでおくのが良いでしょう。
お皿のナイフ・フォークは食事が未だ途中の場合はハの字の形に置き、終了した場合は5時の方向へ揃えて、フォークは上向きに、ナイフは刃が内側に向くように置きます。これが食事が終了の合図になります。

〜五味さんは皆さんからの沢山の質問に丁寧に答えてくださいましたが、とうとうタイムリミットになってしまいました。レストランの方に11時半の予約のお客様が大勢いらっしゃるそうですので、残念ですがここで終了です。
皆さんからは「楽しかったです。」「良いお話を有難うございました。」と沢山の声が掛かりました。先程五味さんに教えて頂いたマナーを即実践されて、お客様の方も素晴らしいです。五味さんお忙しいところを盛り沢山の内容でお話くださり、本当に有難うございました。ご協力に感謝いたします。皆さんの声に送られて、今回もサーベルの入った箱を片手に抱えてハヤテのように去って行かれました。


五味さんが帰られた後、皆さんは放心状態で残ったワインを飲みながら、しばし余韻を楽しんで散会となりました。
暑い中をお帰りになられる皆様、どうぞアルコールが入っていますので水分を充分にとってお静かにお帰りになられますようにと、皆様をお見送りしました。〜

さて、次回8月はなかなかお目に掛かれない、幻のワインメーカーさんのお二人がジョイントでやって来てくれます。またまた賑やかになりますヨ。(笑)



ワイン俳句です。
朝市で テーブルマナーと サーベラージュ Kさん
梅雨晴れ間 勝沼朝市 試飲会 ロゼ娘さん
暑い日に ダイヤモンドの ロゼがうまい しんさん
飲めない寂しさあったけど 楽しいお話聞けて満足(ドライバー)ワインフランさん
初夏の風 涼しさ感じる サーベラージュ アプリコットさん
甲州の 泡よくきれる スパークリング まあさん
ワイン飲み  山梨県内  地理勉強 くっきー嫁さん
サーベルの  切れ味うまし  泡ワイン ドラさん
初さんか  ワインセミナー 楽しすぎ 本日アニバーサリーさん


以上です。篠原