売れないよ
6月の朝市前日、テントと机を会場に運び込んだ後、小澤氏とある野菜を仕入れに言った。無農薬の葉物の野菜。途中、腹が減ったのでコンビニで軽食を買い込んだ。

あれ小澤氏違う方へ行くなあ、と思ったら・・「高速で行くじゃん」えっ?高速? 今まで何度も色々なところへ前日仕入れにいったけど高速を使うのは珍しい。今回の野菜によほど利益を見込めるのであろう。

今回行く農家、前々回そこの犬に小澤氏は足と腿を噛みつかれ、その後私は追われてタタっころんだ、といういわくつきの犬がいるお宅。今回はその仕返しでもと思ったけど返り討ちにあう可能性もあるので、つく直前そのお宅に電話をして「今着きますコール」門の外で待っていた。

そこの奥様はなんで私たちが外で待っているのか不思議がったが私たちはその秘密を明かさなかった。

その農家のご主人と畑に向かった。あたりは真っ暗しかも墓地のまん前。畑に入る進入路は軽トラックでやっとなのに小澤氏は果敢に入ろうとした、が、私の強い説得に応じてあきらめた。危うく愛車を傷つけるところだった小澤氏。

ご主人畑に着くなり「なんでえ、トラックでこなきゃだめだよ。小澤さん(朝市)のためにこんなにとっておいてあるんだよ」と畑を懐中電灯で照らした。そこには立派な葉物の野菜が・・・。

ご主人ナイフでその野菜をひとつずつ収穫しながら「立派なもんでしょ。無農薬だよ。小澤さんのためにとっておいたんだよ」とか「この前、道の駅にいったら○○円で売ったよ。しかもこれよりちっちゃいやつが」「ほら、いい玉でしょ。小澤さんのためにとっておいたんだよ」

もってきたコンテナに詰め込んで小澤氏のホンダ・インテグラに積めるだけ積んだ。野菜仕入れ部長も兼ねる小澤氏「小澤さんのために・・」がかなり効いたらしくいつもより弾んで支払い。

そんなに払って大丈夫??「だって、道の駅で○○円以上してたって言われりゃ、そのぐらい払わないと悪いジャンね・・」帰りは若干無口でしっかり一般道を帰ってきた。

翌日朝5時。テントを立て込みながら直売所もやっているメンバーの甘利氏。
「どうしたのこの葉物野菜。これあんまり売れないよ」

小澤氏「えっ?売れない?・・・・・」

いくらで仕入れてきたの

小澤氏「○○円・・・」

じゃ一個○○円で売らなきゃだめじゃん。こりゃ絶対無理だ。
と断言してしまった。甘利氏の断言が外れたことはない。

案の定その葉物野菜は売れなかった。しかも高速代までかかっている。すると小澤氏絶対の禁じ手、いつもは無料配布するサービス品にまで値札をつけはじめた。このパターンはドツボにはまるパターンでして、博打でも取り返そうと我武者羅に動くと欠の毛まで抜かれてしまう。

いつもは若干の赤字にも冷静を決め込んでいる小澤氏も今回はまるでいつもの私のようにジタバタしていたのが面白かった。

4年目に突入したかつぬま朝市だけど、毎回こんなド素人のようなことを仕出かして笑い合っている。


平成16年6月